Japanese Society of Oral Oncology

一般の皆様へ

口の中に異変を感じたら

口は食事・会話・呼吸と、人間が生きていくうえでとても大切なことに関係します。口の中に痛みや腫れ、違和感や何か気になることがあったらどのようにしたらよいでしょうか?
口の中には歯だけではなく、舌、歯肉(歯ぐき)、口底、頬粘膜、口蓋、口唇といろいろな臓器が存在します。また上あごや下あごの骨、唾を作る唾液腺も口を構成する大切な要素です。
歯科医師は歯の治療がよく知られていますが、これらの口を構成する要素も診断・治療の対象となります。口の中の異常は口腔がんが近年周知され始めています。しかし、口の中の異常を引き起こすものは口腔がんだけではありません。
虫歯や歯周病など歯科治療で改善するものもあれば、唾液腺の病気や顎の中の病気など検査や手術、あるいは適切な投薬が必要になる病気があります。口の中の病気は早期発見と正確な診断、治療が必要です。
口の中の不安は歯科医師に相談してください。

 

口腔がん

口腔がんは口の中に発生するがんで、舌、歯肉、口底、頬粘膜、口蓋、口唇に発生します。
発生原因には飲酒や喫煙、虫歯や合わないかぶせものによる慢性的な刺激、細菌やウイルスの感染などが考えられています。
口腔がんのなかで日本人に一番多いのが舌がんで口腔がんの約60~70%を占めます。
がん全体では1%を超え、年間で2万人を超える方が口腔・咽頭がんに罹患し、その数は増加傾向にあります。
また口腔がんでの死亡数は子宮頸がんとほぼ同等であり、超高齢社会の到来とともに身近ながんとなりつつあります。

上は舌癌の患者さんの口の中の写真です。
口腔がんは痛みや出血、粘膜の色の変化を伴いますが、初期の場合にはわからないことも少なくありません。
また口腔がんと見た目がよく似た別の病気や、口腔がんになる危険性が増加した状態(前がん状態)やがん一歩手前の病気(前がん病変)など、外見や症状だけでは区別のつきにくいものも多くあります。
まずは専門家による診察が大切です。

 

口腔がん専門医と口腔がん治療認定施設

がんが見つかっても歯科医師では治療ができないのでしょうか。
歯科医師には口腔がんの専門医として、口腔腫瘍学会が認定する『口腔がん専門医』、日本がん治療認定医機構が定める『がん治療認定医(歯科口腔外科)』がいます。
試験を受けて合格した者が耳鼻科の頭頸部外科医と同様の研修を受けることで認定され、がんの治療を行います。
口腔がん治療認定施設では専門医により口腔がんの治療が行われています。
口腔がんが喉へ広がったときや首のリンパ節の転移、他の臓器への転移が見つかった場合には耳鼻科や腫瘍内科等の医科専門医とともに適切な協力体制のもとに治療を行います。

口腔がん専門医 

 

かかりつけの歯科医院を持ちましょう

初期の口腔がんは痛みや腫れなどの自覚症状がほとんどありません。
そのためかかりつけの歯科医師による定期的なチェックも重要になってきます。
口腔がんは歯科医師による発見が多いがんであり、がんが疑われた場合にはかかりつけの歯科から口腔がんの治療ができる病院へ紹介され、検査・診断・治療が行われます。
かかりつけ歯科医院があると、診断や治療に必要な全身状態や歯科治療の情報がスムーズに行えます。
定期的な検診やいざという時のためにもかかりつけの歯科医院を持ちましょう。

 

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